2009-06-28

ソビエト社会主義の殿堂 全ロシア展覧会場漫遊



スターリン時代、社会主義のすばらしさを内外にプロパガンダするために作られた220ヘクタールの巨大な展覧会場。スターリン建築をもっと極端にデザインしたパビリオンが高密度に並び、農工業の振興を讃えるモニュメント、銅像、噴水が社会主義当時の偉容を留めている。
1号館メイン会場を取り囲むように、アルメニア、カリーニングラードなどの地方館が並ぶ。今でもCISを構成している国や地方はその名を掲げているが、多くのパビリオンから国名、地方名を表す看板が撤去されており、ソ連崩壊後の周辺国のソ連離れを示している。

ロシアに来てこの地の人の「社会主義は全否定する程ではなく、ただ消えて行くのを待っている」スタンスに気付く。壮大な仕掛けで社会主義の夢を植え付けられた上、結果としては多いに失望させられ苦しめられた社会体制なのに、ここに来て、社会主義的なもの、特にその集大成とも言うべきパビリオンを破壊せず日用雑貨売り場として転用してしまう節操の無さに驚きを覚えるとともに、社会主義はロシア史の特異点として距離を置き、鷹揚に構えようとしているように見える。無論ロシアの人、特に社会主義時代に苦しい暮らしを強いられた人たちと心を割って話す機会も持たずに、一方的な結論を書く事は控えるべきであろうが。初夏の強い日差しの中、今や巨大ショッピングセンターにその役割を変えた展覧会場を闊歩する家族連れの屈託無い笑顔を見ていて、少し考えすぎてしまう私。

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